別のシリーズで、「文士達が見た『東京の昔』」を出していますが、もう少し遡り、江戸時代やそこから明治時代に移行するあたりの時期の話を語った随筆作品を集めてみました。
明治、大正には、まだまだ江戸時代に生きた人々は多数生きていました。それらの人々が直接語った話や、聞いた話は、多くの作品となって残されています。もっとも有名なのは、半七捕物帳シリーズで有名な岡本綺堂です。半七捕物帳自体が、江戸時代の設定になっていますが、それらは長老らからの聞き書きによって背景が構成されています。その綺堂が綴った多くの随筆は、江戸幕末期の貴重な証言となっています(「綺堂むかし語り」「三浦老人昔ばなし」など)。
柴田流星も、明治初期の生まれですが、受けた教育や日々の生活は江戸時代のそれをひきづっていました。それらを小気味よい語り口で綴っているのが「残されたる江戸」です。また、長谷川時雨は、日本初の女流劇作家として知られていますが、女性文芸総合雑誌『女人藝術』を創刊し、多くの女流作家を世に出すなど、女性の地位向上に尽くしました。その時雨が、江戸時代からの雰囲気を濃厚に残す日本橋界隈の風俗、人情などにについて、自伝的に情緒豊かに書いたのが、「旧聞日本橋」の正続編になります。
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