永井荷風は、1903年に渡米した後、横浜正金銀行リヨン支店勤務を命じられ、米国から渡仏した。その際の滞在記が『ふらんす物語』で、滞在期間は11ヵ月半と短いものではあったが、同物語では、俗物的な銀行員や外交官、燈火きらめくカフェの賑わい、低俗な芝居小屋の喧噪、暗く不潔な裏町なども書かれ、発禁となったが、他方で、米大陸とは異なるフランスの人の手を感じさせる自然、フランス女性の柔らかさ、フランス語の官能性、空の蒼さや夕映えの美しさ等々、荷風のフランスへの深い愛情、憧れが横溢している小品も少なくない。
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