【解説】 「母を恋うる記」は、夢の中で、海辺の松林に沿った誰もいない夜道を、8つほどの子供の自分が、母親を探して歩いていくというもの。夜の闇、雲、青い月、松の葉のそよぎ、風、波の音、潮の香、アーク灯の光、女性の雪のような肌の白さ、母親の乳房の暖かい匂い、思い出の中の三味線の音など、五感に訴えつつ、母親への思慕と月夜の澄んだ雰囲気が全体に滲んでいる。執筆の2年前に亡くなった谷崎の美しい母親像を夢幻的に描いているとされる。
「二人の稚児」は、叡山に幼くして預けられた二人の稚児の、それぞれの煩悩との葛藤を描く。15歳の千手丸と13歳の瑠璃光丸とは、尊い上人の膝下で育てられ、浮世の恐ろしさを教えられてきた。しかし千住丸は、年頃ということもあり、下界に見える浮世に関心を抱き、半日のつもりで叡山から抜け出したものの、人買いに攫われ、曲折を経て長者の婿となって今は裕福な生活を送っている。その千住丸から瑠璃光丸に内密の使いが来て、浮世の楽しさ、上人の教えの「嘘」を説き、下山を勧める。瑠璃光丸が一晩懊悩ののち、出した答えとその後の顛末は・・・。
- URL
- https://www.amazon.co.jp/dp/4865742352/
- 形式
- オーディオブック(CD版)
- カテゴリー
- <しみじみ朗読文庫>オーディオブックシリーズ
- 朗読作家
- 大志田舜(新AI合成音声)
- 著者
- 谷崎潤一郎
- ジャンル
- 小説
- ISBN-13
- 978-4865742350
- CD枚数
- 2
- 収録時間(分)
- 104
- 税込価格
- 2,530円(本体2,300円+税)
- 発売日
- 2022年12月