漱石の幻想的小説を7編収録。
<倫敦塔/カーライル博物館/幻影の盾/薤露行/琴のそら音/一夜/趣味の遺伝>
「倫敦塔」は、訪れた倫敦塔の歴史から幻想を繰り広げる作品。
「幻影の盾」は、先祖伝来の盾を持つウィリアムが、敵方の城にいる恋人クララのことで思い悩むうち奇跡が起こるという話。
「琴のそら音」は、出征兵士の下に病気で死んだ妻が幽霊となって暇を告げにくるという話を聞いた男が、感冒で伏せっている恋人のことで狼狽する話。
「趣味の遺伝」は、戦死した友人の墓に詣でる美人をみて、友人との関係を探るもの。