浅草を舞台に、小説家の「私」がレビューの踊り子に思いを寄せるさまを描いた長編作品。
昭和14年(1939)に『文藝』に連載された。
実生活でも、1938年、浅草五一郎アパートに部屋を借りて浅草生活を始めている。
昭和37年(1962)に映画化された。
大森に住む倉橋という中年の作家が浅草にアパートを借り、戦時下の浅草の風俗を描写している。
レビューの踊子小柳雅子、元踊子の嶺美佐子、売れない役者のドサ貫、浅草徘徊作家の朝野光男、倉橋の妻を奪ったレビュー歌手の大屋五郎などが登場する。
モデルは戦前の東京吉本の芸人たちとされる。
舞台となるK劇場は浅草花月 劇場(吉本興業直営)、主人公・小柳雅子のモデルは、当時の「吉本ショウ」の踊り子、立木雅子と小柳咲子と言われる。
戦前、東京吉本社員だった旗一兵による指摘(旗一兵 『喜劇人回り舞台-笑うスター五十年史』 学風書院、1958年、135頁)。
また「愉快な四人」は東京吉本所属の音楽漫談グループ「あきれたぼういず」、瓶口黒須兵衛(ビング・クロスビー)は、あきれたぼういずの一員、益田喜頓がモデルという。
演劇評論家・向井爽也の指摘(向井爽也 『にっぽん民衆演劇史』 日本放送出版協会、1977年、279頁)。(Wikipediaより)